蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

2016年 憲法記念日に

例年当欄には『日本国憲法』の「前文」を掲載しているのですが、今年は少し語釈の数を増やし、ささやかながらアップデイトを試みてみました。

下方の語釈を参考にしながら、できれば声に出して読んでみて下さいませ。

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 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制隷従圧迫偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国のことを無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高理想と目的を達成することを誓う。

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 【協和】:仲良く協力し合うこと。 【自由】:他から制限や束縛を受けず、自分の意志・感情に従って行動する(出来る)こと。また、その様子。〔民主主義社会では、社会秩序を乱さぬ限り、その人の主体的な意志・判断に基づく言動の認められる権利を指す。〕 【恵沢】:「恵み・うるおい」の意の漢語的表現。 【惨禍】:天災や戦災などによる、見るに堪えないほどの災難。 【主権】:他国の干渉によって侵されることの無い、国家の意思力(統治権)。 【信託】:信用して依託すること。 【権威】:ずば抜けた実力やすぐれた判断力の累積によって支えられた、他を威圧し、追随せしめる人がただよわせる雰囲気。また、そのような雰囲気をただよわせる人。 【権力】:その組織に属する他人すべてを、自分の意志通りに動かすことの出来る力。〔狭義では、国家や政府の持つ強制力を指す〕 【福利】:幸福と利益。 【普遍】:広く行き渡ること。個人がどう考える(感じる)かとは無関係に、すべての思考・認識に妥当すること。 【詔勅】:天皇の意思をしるした公文書。 【平和】:戦争や災害などが無く、不安を感じないで生活出来る状態。 【崇高】:その存在が極めて高い境地にあり、とても近寄り難い感じを与える様子。 【理想】:実際には実現出来ないとしても、理念としては追求し続けるところの、物事の最も望ましい状態。 【公正】:特定の人だけの利益を守るのではなく、だれに対しても公平に扱う様子。 【信義】:いったん約束した事は、時間がたって環境が変わっても、その通りに実行すること。 【保持】:〔そうする意義(必要)のあるものについて〕そのままの状態を持ち続けること。 【維持】:〔家の暮らしや組織体の運営を〕今までと同様に一定の水準を保って続けていくこと。 【専制】:団体の長が部下(仲間)の意見を考慮に入れず、独断で事を処理すること。 【隷従】:部下としてつき従うこと。 【圧迫】:心理的・精神的に威圧感を与えたり、強い経済力・軍事力によって行動の自由を「制約」したり打撃を与えたりすること。 【偏狭】:かたいじで度量が小さい様子。 【名誉】:業績を上げた(社会に尽くした)などの点で、世人からりっぱな人だと仰がれる社会的評価と、それに伴う栄光。 【権利】:物事を自分の意志によってなしうる資格。 【専念】:その事だけにかかりきりになること。 【無視】:そこにあるものの存在(価値)を考慮に入れないこと。 【責務】:責任と義務。義務を果たすべき責任。

 

 ※憲法前文は現代仮名遣いに改めました。

 ※語釈は『新明解国語辞典 第五版』(三省堂)より抜粋しました。