蒼風閑語

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名曲三〇〇選

特に毎晩・・・という訳でもなく枕元に置いてつらつらと読み進める内に、吉田秀和氏の『名曲三〇〇選』(ちくま文庫)をいつの間にか読了していました。

基本的には音楽史の流れに沿った形で「グレゴリウス聖歌」から「二十世紀の音楽」まで、吉田氏のセレクトした名曲の数々がマラソン形式にドンドン紹介されて行きます。

作曲家や個々の楽曲に関するコメントが最小限に抑えられているので“どこからでも読み始められる感じ”があって、それがかえって読了までに時間を掛けさせる原因となったのかも知れません。

それにしてもこういった趣旨で書かれた本を読むと、自分がこれまでに聴いて来た作曲家や作品の数が、いかに狭く少ないものであるかという事が良く判ります。

旧版には付いていたという「レコード表」が文庫化に当たって割愛されているのも、これだけ様々な「名盤ガイド」が巷に溢れ返り、またソフトの改廃もかまびすしい現在にあっては、逆にある種の見識の様なものすら感じさせたり。

どこでも開いたページから読み始める事が出来、どこで読み終わっても特段の問題が無い・・・という点で、ナイト・キャップ代わりにするにはまさに“うってつけ”の一冊と言えるかも知れません。

名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)

名曲三〇〇選―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)