蒼風閑語

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相転移と臨界現象

当該書籍の中で参考文献として挙げられていた事もあって、田崎晴明氏の『統計力学Ⅰ・Ⅱ』に引き続いて読み進めていた、西森秀稔氏の『相転移・臨界現象の統計物理学』(培風館)を読了しました。

統計力学の中でも特に興味深いトピックのひとつである「相転移と臨界現象」について、西森氏が東京工業大学の大学院で使用していた講義ノートを元にして書籍化された、どちらかと言えば入門的な内容を主としたテキスト。

巻頭の「まえがき」に、“第1章から第5章までは相転移・臨界現象についての基礎教養であり (中略) 6章以後は、5章までの知識を前提として興味を覚えた章だけでも独立して読めるように工夫してある” とある通り、5章までは大きな流れに沿って一息に読み切る事の出来る構成となっていました。

第6章の「ランダムな系」以降は、第7章「厳密に解ける模型」、そして第8章「双対性」と、やや各論的な応用例が続いて少しばかり難解。個人的には “今後必要に応じて適宜参照・吟味し直すべきパート” といったところでしょうか。

あと特筆しておくべき点として、第1章~第5章までについては挿入されている図やグラフの選択が秀逸で、読み進む上での大きな支えになっていた事を申し添えておきましょう。

相転移・臨界現象の統計物理学  新物理学シリーズ

相転移・臨界現象の統計物理学 新物理学シリーズ