蒼風閑語

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日本の気候

昨年の秋頃に古書店で見つけて購入したなり未読のまま放り出していた、中村和郎・木村龍治・内嶋善兵衛の3氏による共著『日本の気候』(岩波書店)を読了しました。

全体は大きく5つの章から成り、内訳は第1章「季節を彩る気象現象」、第2章「変化に富む各地の気候」、第3章「気候をかえる人間の営み」、第4章「時代とともに変化する気候」、第5章「地球全体からみた日本の気候」という流れ。

第1章で日本に顕著な気候現象を具体例に気象の基礎知識を概説しておいて、第2章では凡そ100ページを費やして各地域毎に異なる気候の特徴を、具体例を挙げながら北海道から沖縄まで順に紹介して行く。

続く第3章では土地開発によって生じた所謂「都市気候」を論じ、第4章ではザックリとした気候変動の歴史を、最後の第5章では全球規模での大気大循環を解説して「地球システム」そのものの理解に至りましょう・・・という構成でした。

特に最も紙数を割いて展開した第2章は本書のハイライトとも言える部分で、地図帳を開いて日本列島の地形を確認しながら読み進むと「局地気象で訪ねる日本縦断の旅」といった風情を愉しむことも。

日本列島というのはまさに文字通りの「島弧」なのだという事が、本当に良く理解出来る“興味深く面白い”一冊でした。

新版 日本の自然〈5〉日本の気候

新版 日本の自然〈5〉日本の気候