蒼風閑語

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ルベーグ積分入門

一般的に「古典的名著」として世評も高い、伊藤清三氏の『ルベーグ積分入門』(裳華房)を読了しました。

様々な分野の自然科学書で、頻繁に参考文献として挙げられていたり文章の一部が引用されていたりで、機会があればちゃんと目を通しておきたいなと思っていた一冊。

しばらく前に読み終えた新井朝雄氏の『ヒルベルト空間と量子力学』(共立出版)でも盛んに引用されていたので、その余勢を駆る様な形で取り掛かったのでした。

本書にあって首尾一貫している特徴として読み進めている間ずっと感じていたのは、独習者にも充分過ぎる程配慮したと思われる徹底した“懇切丁寧さ”でしょうか。

巻頭の「序」に続いて収められている「読者のために」と各章の関係を詳細に示したチャートから巻末に収録された附録に至るまで、“妥協”とか“手抜き”とかいった事とは一切無縁の緻密な記述が続きます。

読み終えた時には「測度論」と「積分論」の端緒について、一通り以上のものを見せて頂いたなと、心地良い疲労感と共に深い満足感にも包まれたのでした。

やはり“名著には名著の由縁あり”という事なのですねぇ・・・。

ルベーグ積分入門 (数学選書 (4))

ルベーグ積分入門 (数学選書 (4))