蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

いざよいの月

残念なことに“雲の隙間からチラチラと”だったり“雲の向うにボンヤリと”といった風情ではあるのですが、今日8月6日は満月の夜なのです。

風も無く蒸し暑い夜、窓を全開にしても動かない部屋の空気を扇風機でムリヤリにかき回しながら、「今日は何の日?」とカレンダーを眺めていて気が付きました。

しかも今日は旧暦で言えば六月十六日・・・つまり今夜の満月は「十六夜(いざよい)の月」という事になります。

そういえば、『古今和歌集』巻第十四の「恋歌四」にはこんな一首。

 “きみや来(こ)む 我や行(ゆ)かむの いさよひに 槙(まき)の板戸(いたど)も さゝず寝(ね)にけり”

 〔貴方がいらっしゃるのを待つのか私の方から参るのかと、十六夜(いざよい)の月の様にグズグズとためらっている内に、真木の板戸を閉ざさないまま床に就く事になってしまいました。〕

いやもう何とも雅(みやび)やかな心模様。「いざよう(=ためらう)」というのも今では殆ど耳にする機会はありませんが、実に美しいコトバですねぇ・・・。

さてさて、そんな事を言っている間(ま)に明日は早「立秋」です。