蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

初秋・古書の街で

昨日は例によって神保町の古書店街を歩いていたのですが、中途半端な時期に発生した思わぬ長期休暇に、何となく「調子狂っちゃったなあ」と思っているのはこの街も同様。

先週末とあまり変わり映えのしない棚模様のまま所在なさ気にしているお店があれば、こんな時こそ大棚ざらえと大幅な在庫の入れ換えを敢行しているお店もありで、対応ぶりも店主によって様々なのが面白いところ。

そんな中に一軒、先週まで奥まった棚の中に鎮座していた古典文学全集を全て店頭の均一棚に移動させている所があったので、もしやと思って売り場をよく見てみれば“野上彌生子全集”の端本が十数冊、しかも3冊500円の均一価格で並んでいるではないですか!

早速本のコンディションを確かめながら、読みたかった作品の収められている巻を3冊選びました。函は経年により変色している部分もありますが、中身はピリッとしたグラシン紙に包まれたままでほぼ新品同様の美しさ。ちゃんと月報も付いています。

それにしても、今まさに“ハマって”いる作家の代表作を収録した全集が文庫本よりも遥かに安価に読めてしまうというのは、ありがたい事とはいえ一方では何とも複雑な気持ちでもあります。

いまどきは100ページ程の一番薄い手の文庫本だって、普通に新刊書店で買えば300~400円程度はしますものねぇ・・・。

元々は数百円だった本が数千円、モノによっては数万円にもなったり、逆に何千円何万円もしていた高額本が二束三文で店晒(たなざら)しになっていたり。改めて“モノの値段”の面白さを感じていた初秋の午後だったのでした。