猫文学大全
しばらく前に近所の中古雑貨店の“猫本フェア”で見つけて買い求めた、柳瀬尚紀氏の編訳による『猫文学大全』(大和書房)を読了しました。
英国で出版された「猫小説集」である "The Book of Cats" なる一冊から、柳瀬氏がさらに厳選を重ねた16編が、たくさんの挿絵と一緒に収められています。
その豪華な作家陣をざっと挙げてみると、オグデン・ナッシュ、テッド・ヒューズ、オルダス・ハックスレー、P.G.ウッドハウス、ウィレム・サーモン、W.W.ジェイコブズ、マーク・トウェイン、ジャイルズ・ゴードン、ラドヤード・キプリング、ハーヴィー・ジェイコブズ、サキ、ポール・ギャリコ、アン・カーラー、ロイ・フラー、ジャン=ポール・サルトル、稲川方人、という面々。
ほっとする話、ほのぼのする話、笑える話、不思議な感じの話、ちょっと怖い話、含蓄のある話・・・と実に様々なタイプの「猫小説」が文字通り“テンコ盛”になっているのですが、何れも猫好きの方なら「そうそう、そうなんだよ」と思わず膝を叩いてしまいそうな内容ばかり。
個人的には、テッド・ヒューズの「ネコ君の職探し」、ジャイルズ・ゴードンの「嫉妬ぶかい猫」、ラドヤード・キプリングの「ひとり歩く猫」、ハーヴィー・ジェイコブズの「そこで何してきたの?」、サキの「トバモリー」、ポール・ギャリコの「まずいと思ったら毛づくろい」辺りがお気に入りでしょうか。
猫好きの方はもちろんそうでない方にも充分愉しめる、とても風変わりで面白いオムニバス作品でした。