蒼風閑語

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フラクタル科学

2ヶ月ばかり前にネット古書店で見つけて買い求めておいた、高安秀樹氏の編著による『フラクタル科学』(朝倉書店)を読了しました。

6人の執筆者がそれぞれ御専門のテーマについて各章ごとに筆を執り、本書を通読する事によって“フラクタルの応用ヴァリエーション”が具体的に見えて来る仕掛けになっています。

構成は第1章が高安氏による「新しい世界観」、2章が本田勝也氏による「結晶成長によるフラクタル」、3章が佐野雅己氏の「カオスの構造とフラクタル」、4章が田崎晴明氏の「相転移、臨界現象、フラクタル」、5章が村山和郎氏の「アモルファスフラクタル」、そして第6章が伊東敬祐氏による「宇宙と地震フラクタル構造」という流れ。

どの章も執筆当時における最新の研究成果を踏まえたものだけに、筆致にも何とも言えない“勢い”の様なものがあって、読んでいても内容にグイグイ引き込まれて行く感じがありました。

中でも力学系的な展開の第3章、統計物理学との関係を解き明かした第4章、物性論的な視点から光を当てた第5章辺りが、特に科学としての「ワクワク感」に満ちていた様な気がします。

それにしても、フラクタルについてのこんなにも熱く面白い本を読み終えてしまうと、やっぱりベノワ・マンデルブロの書いた『フラクタル幾何学』を読んでみたくなって来ますねぇ…。

フラクタル科学

フラクタル科学