蒼風閑語

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非線形力学

半年以上も前に神保町の古書店で見つけて買い求めてから、ずっと本の山の中に埋没させたままにしていた、岡本久・藤井宏の両氏による共著『非線形力学』(岩波講座 応用数学分冊)を読了しました。

この講座は殆どの分冊が100~150ページ程度のコンパクトなボリュームなのですが、小冊にも拘わらず版組みが比較的ユッタリ目に取られているため、テーマのサイズと本のサイズが合っていると非常に快適に読み進められるのです。

本書は全体が大きくⅡ部に分かれており、第Ⅰ部が岡本久氏による“流体の運動と力学系”、そして後半の第Ⅱ部が藤井宏氏が筆を執られた“力学系における分岐理論”という流れ。

第Ⅰ部は、とてもコンパクトにまとめられた粘性流体による非線形力学系へのガイダンスといった風情、続く第Ⅱ部の方は、現象に対応するパラメータの臨界値における解の分岐問題に焦点を絞った「応用編」となっていました。

読んでいて「あ、これは難しくて面白いな」と思ったのは、第Ⅱ部の後半に置かれていた第2章の「Lyapunov-Schmidt の方法」と第3章の「中心多様体定理」でしょうか。

それにしても、この「臨界現象」というトピックは対象とする現象・状態を問わず、とても面白い研究分野なのだなぁ・・・という気がしています。モチロン、“簡単に理解出来そうな分野ではない”事もまた確かなのですけれども。