蒼風閑語

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「漢字の力」シンポジウム

昨日11日に品川駅近くにある THE GRAND HALL で開催された、(財)日本漢字能力検定協会朝日新聞社の共催による“「漢字の力」シンポジウム”に参加してきました。

プログラムは大きく2つのパートに分かれており、まず第1部がジャーナリストの池上彰氏による基調講演「漢字は不思議で面白い」。

池上氏御自身の来歴なども交えながらの巧みなトークで、漢字の持つ不思議さと面白さを丹念に解説して下さいました。全く淀むところのない講演ぶりはあの『週刊こどもニュース』の明晰さそのまま。50分間がアッという間に過ぎて行きました。

そして続く第2部は「共に育む漢字の力」と題されたパネル・ディスカッション。今度は池上氏がコーディネーターに回って、対するパネリストは京都大学大学院教授の阿辻哲次氏、エッセイストの安藤和津さん、朝日新聞論説委員の福島申二氏という何れ劣らぬ“日本語と漢字のプロ”の面々でした。

特に福島氏はかの『天声人語』を執筆なさっているコラム子のお一人とあって、個人的にはいわば長年に渡っての「マイ・ヒーロー」です。

とにかくお三方とも日本語と漢字に関してなら“一晩中でも大丈夫”という方ばかりですのでひとたび発言し始めるとなかなか止まらないのですが、そこへ池上氏が絶妙なタイミングでコメントを挟んで話題をコントロールして行くさまは、ある種見事な手品でも観ている様でした。

今回のシンポジウムの内容については近日中に朝日新聞紙上に掲載されるという事なので、ここでは詳(つまび)らかにしないでおきますけれども、池上氏が仰っていた「常用漢字」の意味、安藤さんがコメントされた「愛」という字の覚え方、福島氏が述べられた「縦書きの引力」のお話、阿辻氏が最後に添えられた「武」という漢字の由来など、開会から閉会までの2時間半が本当に短く感じられた“至福のひととき”だったのでした。