蒼風閑語

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美の幾何学

しばらく前に近所の古書店で買い求めていた、伏見康治・安野光雅・中村義作の3氏による共著『美の幾何学 ― 天のたくらみ、人のたくみ』(ハヤカワ文庫)を読了しました。

以前から旧ヴァージョンの中公新書版を目にする度に読みたいと思っていたので、最近文庫化されたのが古書店に並んだのを機に持ち帰っていたのです。

高木隆司氏の『かたちの不思議』(講談社現代新書)、小松醇郎氏の『いろいろな幾何学』(岩波新書)と読み終えて、「そろそろ頃合いかな」と手に取った本書でしたが、これがもう何とも言い表せない程の面白さでした。

基本的には3人の執筆陣による「鼎談」がベースになっているのですが、豊富で美しい「図版」とちょっと詳しい「囲み記事」と要所要所に挿入される数学的な「テキスト」、これらのバランスが絶妙で文字通り“緩急自在の妙”といったところ。

セレクトされているトピックはシンメトリー、対数螺旋、黄金分割、紋と文様、寄せ木、アラベスク、遠近法、四次元図形・・・という怒涛のラインナップ。これだけのネタをこの顔触れで語り尽くそうというのですから面白くならない訳がありません。

「どこが面白い」と尋ねられても「すべて面白い」としか答え様がないのが少しばかり悔しいところではあるのですけれども、まぁまぁマズは手に取って取り敢えず実際に目を通してみて下さいませ。ホントに面白いですから。

続いては本書の「テキスト」の部分を適宜振り返りつつ、“サイエンティフィック・アメリカン・ライブラリー”の中からトマス・F.バンチョフの『目で見る高次元の世界』(東京化学同人)に取り掛かるつもりです。

美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ (ハヤカワ文庫 NF 370 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ (ハヤカワ文庫 NF 370 〈数理を愉しむ〉シリーズ)