蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

部首のはなし

丁度ひと月ばかり前に神保町で買い求めていた、阿辻哲次氏2004年の著作『部首のはなし』(中公新書)を読了しました。

去る2月11日に都内で開催された「漢字の力シンポジウム」で同氏のお話を拝聴して、是非著作の方にも目を通してみたいと思って持ち帰った一冊だったのです。

一旦読み始めるとページを繰る手が止まらなくなるのはシンポジウムでパネリストとして御披露なさっていた軽妙なお話ぶりと同様。ソフトタッチで親しみ易い語り口はある種“阿辻節の真骨頂”とも言えるものでしょうか。

また比較的短い個々のエピソードに盛り込まれているウンチクの匙加減が何とも絶妙で、決して堅苦しさを感じさせる事無く部首にまつわる“チョットした知識”が得られる様に工夫された文章の巧みさは「さすが!」の一言でした。

更に本書によって得られる大きなメリットの一つではないかと思ったのが、読中どうしても手許にある漢和辞典を引いてみないではいられなくなるという事実。

実際、最初の内こそナイト・キャップ代わりに布団の中で読み進めていたのですが、デスクの前で漢和辞典を傍らに置いて愉しみ始めるまでにそう大して時間は掛かりませんでした。

阿辻氏は巻頭の「はじめに」の中で、“部首索引を使いこなすには、習うより慣れろ、という格言に従うのが最適である。本書がそのために少しでも役立つところがあれば、著者としてそんなにうれしいことはない”と語っています。

まさに同氏の仕掛けた「術中」にハマってしまった・・・といったところかも知れませんね。

部首のはなし―漢字を解剖する (中公新書)

部首のはなし―漢字を解剖する (中公新書)