蒼風閑語

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水無月の晦日

近頃やっている面白いことの一つに、佐々木高政氏の代表作『和文英訳の修行四訂新版』(文建書房)所収「暗唱用文例集」の和文を自分なりに和訳してみる・・・という作業があります。

この本は「初版」が発刊されたのが1952年、現行の「四訂新版」でさえ今から30年以上前の1981年に刊行というロング・セラーだけあって、さすがに和文の表現には些か古めかしい部分があるのです。

この例文を一所懸命暗記していた当時から「ちょっと違和感あるなぁ」とは感じていたので、この際全てを自分なりに「現代風の表現」で書き改めてみようか、と思い立ったのでした。

この作業を始めるにあたっては自らに課した「マイ・ルール」が一つだけあって、それはどんなに易しいと思っていても必ず “全ての単語を辞書に当たってみる” という事。

この文例集に収められている500の例文は、1センテンスあたり多いものでも30、通常は10〜20程度の単語で構成されている短文ばかりなので、全てと言っても大それたものではありません。

そして実際に始めてみて判ったのですけれども、これがとても勉強になるばかりか作業としても単純に面白いのですね。

これまで「知っている」と思い込んでいた単語の意味が、山程ある語釈の中のホンの幾つかに過ぎない事が次々と判明していく驚きと面白さ。

自分のものを知らなさ加減と辞書が持っている力を改めて思い知りつつ過ぎて行く「水無月の晦日」・・・なのでした。

和文英訳の修業

和文英訳の修業