蒼風閑語

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英語辞典を使いこなす

笠島準一氏2002年の著作『英語辞典を使いこなす』(講談社学術文庫)を読了しました。

これは同著者が1986年に上梓なさった『英語の辞書を使いこなす』(講談社現代新書)を底本として、巻末に60ページにも及ぶ「補章」を書き加えた改訂・改題版です。

全体は大きく6つの章から成っており、内訳は第1章「私と辞書との出会い、つきあい」、第2章「辞書の楽屋裏」、第3章「英和辞典を使いこなす」、第4章「英英辞典を使いこなす」、第5章「和英辞典を使いこなす」、第6章「辞書離れ、そして再び辞書へ」、最後に補章「辞書革新と21世紀の辞書」という流れ。

巻頭に置かれた「プロローグ」の中で著者が述べている様に、本書のメッセージの要諦は(1)「各学習者の語学レベルと目的に応じた最適の辞書がある」、(2)「辞書のしくみを知ることにより、誤解のない、効果的な辞書の使い方が身につく」、(3)「英和・英英・和英辞典を「連携プレー」させることが可能であり、それによって英語辞典の力が倍増する」という3点に集約されています。

特に(1)について、英語を「学ぶ」立場と「使う」立場と「教える」立場でセレクトすべき辞書にハッキリとした違いがあるという記述は、普段何となく思っていたコトに裏付けを与えて頂いた感じで、我が意を得たりの感を強くしました。

そして個人的に最も参考になったのは(3)の部分で、やみくもに英英辞典「だけ」を使おうとする事の不合理さを指摘する論旨には文字通り盲を開かれる思いで、俗な言い方をすれば正に「目からウロコ」といったところ。本書中の白眉と言って差し支え無いかも知れません。

辞書が好きで普段からよく利用しているつもりでも、改めてその道のプロから使い方を指南して貰うと、まだまだ「本当に使いこなす」には程遠いのだな・・・という事に思い至りさらに使い込んでみたくなる。

・・・そんな「正のスパイラル」に読者を導く、稀有な手引書ではないかと思います。

英語辞典を使いこなす (講談社学術文庫)

英語辞典を使いこなす (講談社学術文庫)