蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

宇宙と人間 七つのなぞ

湯川秀樹氏1974年の著作を文庫化した『宇宙と人間 七つのなぞ』(河出文庫)を読了しました。

もともと筑摩書房の「ちくま少年図書館」というシリーズの一冊として刊行されていたものらしいのですが、“科学的なものの見方・考え方” を著者ならではの視点で判り易く解きほぐした好著でした。

「宇宙・素粒子」、「生命」、「ことば」、「数と図形」、「知覚・感情」と7つのトピックを5つの章で語っているのですけれども、聞き書きという形式が功を奏してか非常に親しみ易い読み口になっていました。

特に第2章「生命のなぞ」、第3章「ことばのなぞ」、第5章「知覚のなぞ 感情のなぞ」といった、著者にとってはある種「専門外」となる分野についての記述が面白い。

「ここがわからん」「ここはちょっとヘンだ」「これはおもしろい」といった疑問符や感嘆符のつけ方に著者の個性が色濃く反映されている様で興味深いのです。

本書の最後にあったこんな件(くだり)が、多方面への興味を失わず常に学習し続ける事の重要性を端的に表していた様な気がしています。

 “学習するということの快さは、普通の感覚的快さとはひじょうに違うものですけれども、やはり、一種の快感であって、学問すること自体が楽しい、勉強することが楽しいということは、そう思う人には明白なのです。”

宇宙と人間 七つのなぞ (河出文庫)

宇宙と人間 七つのなぞ (河出文庫)