蒼風閑語

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新聞記者という仕事

朝日新聞の柴田鉄治氏2003年の著作『新聞記者という仕事』(集英社新書)を読了しました。

全体は大きく7つの章に分かれており、内訳は第一章「新聞の輝き」、第二章「テレビと新聞」、第三章「新聞の弱点」、第四章「新聞と調査報道」、第五章「新聞の落とし穴」、第六章「読売・朝日の憲法対決」、第七章「新聞復権への道」という流れ。

ちょうど「情報のデジタル化・オンライン化」が急速に一般化されつつあった時期の著述なので、「紙媒体としての新聞」を真正面から語ったメディア論の成書として貴重な一冊です。

基本的には、朝日新聞社内で論説委員や論説主幹などを歴任なさった著者が “来し方を振り返りつつ” 新聞というメディアのありようを語る・・・というスタイルなので、客観的な立場から書かれた論評とはやや趣きを異にしています。

タイトルにもある通り、朝日新聞記者が語る「新聞記者という仕事」のインサイド・ストーリーとエピソード集、といった位置付けが適切になるのでしょうか。

もちろん内容的には、新聞というマス・メディアに何がしかの興味を持っていたり熱心な朝日新聞読者であったりすれば、この上なく興味深く面白いものばかり。

しかし、何かと話題の渦中にある朝日新聞の現状を顧みるにつけ、もしも本書が「今」書かれたとしたらどのような論調になるだろう・・・とは誰もが考えてしまうところかも知れません。

2003年という本書の刊行次期を考え合わせると、新聞にとって「幸せな時代」というのは恐らくこの頃までだったのではないかなぁ・・・という気もしていたのでした。

さて、明日は「長月の晦日(つごもり)」。早いですねぇ・・・。

新聞記者という仕事 (集英社新書)

新聞記者という仕事 (集英社新書)