蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

皆既月食2014

帰宅途中。

ぐるりと遠回りをして向かったのは多摩川河川敷。時刻はちょうど19時を回ったところでお月様は凡そ8割方が欠けたところでした。

空いている備え付けベンチの一つに腰掛けて鑑賞開始。川辺を吹き抜ける風はかなり涼しく、上着がないと冷え込む位です。

空を見上げれば北方と南方には雲があるものの、東から天頂近くに掛けての一部分だけは川のように晴れ間が広がっています。

そして眺めはじめてから十数分ほどで皆既状態に。月が褐色の球体に変ずると同時に周辺の小さい星々が一気に輝きを増すのは、毎度お馴染みの事ながら息を呑む瞬間です。

それからの数十分間は虫の声すら控えめに聞こえて来る様な独特の空気感。夜空に浮かんだ「茶色い仁丹」の脇を羽田から飛び立った飛行機のランプがユックリと通り過ぎて行くのは、風景としてなかなかの趣きでした。

しかも皆既食の状態を充分に味わい堪能したな・・・と思った辺りで、俄に南方の雲が張り出して来て、20時前頃にはアッという間に「月食劇場」の緞帳(どんちょう)が下ろされる。

南北を雲に挟まれた「花道」の設定も秀逸でしたが、その舞台を演出していた雲自体による「幕引き」ぶりもまた鮮やかなもの。自然が偶然に生み出す現象のドラマティックさに改めて感嘆した次第です。

・・・皆様は月食、御覧になりましたか?