蒼風閑語

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ウイルス

ドロシー・H・クロウフォード著/永田恭介氏の監訳による『ウイルス ― ミクロの賢い寄生体』(丸善出版 “サイエンス・パレット”)を読了しました。

全体は大きく9つの章に分かれており、内訳は1.「ウイルスとは?」、2.「世界中ウイルスだらけ」、3.「殺すか殺されるか」、4.「新興ウイルス感染症」、5.「流行と大流行」、6.「持続感染ウイルス」、7.「腫瘍ウイルス」、8.「形勢逆転」、9.「ウイルスの過去、現在、未来」、という流れ。

ウイルスの構造から始まってその存在場所と存続形態、ウイルスと免疫システムの間にある相克関係、エピデミックからパンデミック、ウイルスと人類との闘いの歴史と現状、などが親しみ易い筆致で綴られています。

ただし「親しみ易い」とは言っても、これだけの内容を新書サイズの小冊にの中に圧縮しているのですから、一から十まで全てを説明している訳にも行きません。

特に生物や医学に特有の術語については概ね「断り無し」に新しいものが登場するので、その都度巻末に収録されている「用語集」をあたるか、もう少し記述の詳しいテキストや辞事典の類を参照するべきでしょう。

個人的に生物関連の疑問には必ず参考にしている『ケイン生物学』(東京化学同人)のウイルスに関係する数章が、本書を読み進める上でも大変有用であったことを申し添えておきたいと思います。

それにしてもウイルスといいミトコンドリアといい、生物のマイクロ・レベルでのトピックは本当に興味深く面白く且つ難しいですねぇ・・・。

ウイルス ミクロの賢い寄生体 (サイエンス・パレット)

ウイルス ミクロの賢い寄生体 (サイエンス・パレット)