蒼風閑語

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森田さんの読書指南

去る2014年10月4日、八重洲ブックセンターにて開催されたトーク&サイン会場で入手していた気象予報士森田正光氏の近著『「役に立たない」と思う本こそ買え』(dZERO)を読了しました。

普段読む本については「自分が読みたいもの」に取り組むだけで時間的にも経済的にも精一杯なので、他人(ひと)様が書いた読書指南の本などにはまず手を出さないのですけれども、本書は森田氏のユニークなサイン欲しさについ買い求めた一冊。

しばらくは我が家の部屋の片隅に「積ん読」状態だったのですが、先日ふと手に取ってページを繰り始めると面白くて、一息に最後まで読み終えてしまったのでした。

森田氏に限らず他人様の読書遍歴を拝見するというのは、「頭の中を覗く」とまでは言わないまでも、御自宅の書架の一部を開陳して蔵書を見せて貰っている様な一種独特の風情があると思います。

本書の序章「本は〈買う〉ことに意味がある」の中で著者は

“私の乱読ぶりを知っている編集者から「読書遍歴を書いてください」という依頼が来たとき、はじめは躊躇した。読んできた本を白日の下にさらすのは、自分の内面をさらけ出すことに等しい。それは非常に恥ずかしい行為だ。”

 と実に「真っ当な」心境に陥った事を吐露していますが、それは著者のみならず読者の側にも生じる心情なのですね。他人の内面を興味本位に覗き込んでいるある種の「後ろめたさ」というか「気恥ずかしさ」とでも言いますか・・・。

それでも一旦読み始めると知らず知らず読み耽ってしまうのは、やはり対象となっている書籍に向ける愛情の深さとか「熱」みたいなものが、読み手にもアリアリと伝わって来るからなのでしょう。

月に何冊も読みこなす本好きの方はもちろんですが、むしろ普段余り本を読まなかったり、若しくは読みたいのにいろんな理由で読めてない方々にこそ手に取って欲しい一冊ではありました。

「役に立たない」と思う本こそ買え

「役に立たない」と思う本こそ買え