狂言記
昨日は例によって神保町の古書店街を歩いていました。
いつものルートで馴染みのお店をブラブラと訪ね歩いては、棚を眺め背表紙を読み気になったものがあれば書架から抜き取って開いてみる。
日によって、読みたい本や面白そうな本が続々と現れる時もあれば、何も買わずに手ぶらで帰る事もあります。
土曜日は何となく後者のパターンで、まぁ古本の匂いを嗅いだだけで良しとしましょうかね・・・と考え始めた矢先に、とあるお店の均一台に目が留まりました。
吹きさらしの店頭で木箱に入れられている均一本の山の中に、橋本朝生・土井洋一両氏による校注の『狂言記』(岩波新日本古典文学大系)が差し込まれているのを見付けたのです。
どれどれと手に取ってみれば、元パラはありませんがコンディションは概ね良好、値段も切り良くワンコイン設定です。
いそいそとレジに運んだその足で大学の図書館へと足を延ばし、早速開いて比較的馴染みのある一編「棒縛(ぼうしばり)」に目を通します。
家の酒を盗んではこっそり呑んでいた二人の家来が罰として主(あるじ)から棒に縛り付けられてしまうのですが、そんな不自由な状態でも二人で協力して呑んでしまい最後には見つかってまた叱られる・・・というお話。
読んでいる内に昔観た舞台の記憶なども仄かに蘇る心地がして、なかなか得難い読書のひとときを愉しんでいたのでした。