蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

ドクダミからワラヅトへ

毎朝目を通す『朝日新聞』1面のコラム「天声人語」には、一見して「今日は随分黒っぽいなぁ」と感じる日があります。

文章中の漢字比率が高くてその上ルビが沢山振ってあったりすると、欄全体が何となく黒っぽく見える・・・という事で、逆に仮名が多いと紙面が白っぽくなります。

最近だと、例えば去る6月7日(日)などはかなり「黒っぽい」日でした。

あれ?デジタル版だとルビが括弧で括(くく)られて漢字の後ろにつくせいか、さほどでもないですか・・・まぁもし機会があったら図書館などで、紙媒体のものを御覧になってみて下さいな。

ところで、実は今回書いておきたいと思っているのは、上の埋め込み画像で本文2行目に見えている「苞(ほう)」という字について。

我が家の PC の日本語入力環境ではこの「苞」の字が変換候補に現れなかったので、書棚の漢和字典を紐解いてみたのです。すると、

【苞】 ホウ ヒョウ

①あぶらがや。むしろぐさ。茅(かや)の一種。②むらがる。しげる。③もと。ねもと。草木の根。④つぼみ。⑤つと。つつみ。また、包んだ品物。⑥つつむ。

(『角川新字源 改訂版』より抜粋)

と字義がズラリ。そして最後に⑤から派生したものでしょうか、日本独自の意味として「つと。わらづと。わらで包んだもの」とありました。

 おぉ!昔々納豆を包んでいたあの「藁苞(わらづと)」と、こんなところで思わぬ再会を果たすとは。何という奇遇!!

・・・と言ってみたところで、今スーパーや食料品店に並んでいる納豆は全てパック入りのものばかりですものねぇ。ここはネット上で見付けた「藁苞入り納豆」の画像を添えておく事に致しましょう。

http://cdn.amanaimages.com/cen3tzG4fTr7Gtw1PoeRer/25380016003.jpg

天声人語」にあったドクダミの話題から漢和字典を経由して、思いがけず昔懐かしい形態の納豆へ辿り着いた・・・というお話でした。

そうそう。我が家の日本語入力環境においても、改めて「つと」と入力すればちゃんと「苞」の字に変換された事を申し添えておきたいと思います。