蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

本と雑誌

プランク・ダイヴ

グレッグ・イーガン著/山岸真氏の編訳による『プランク・ダイヴ』(ハヤカワ文庫)を読了しました。 2011年に刊行された日本独自編集の短編作品集で、収録されていたのは2008年の「クリスタルの夜」、1990年「エキストラ」、2007年「暗黒整…

バーゲンブック

きのうの日曜、ラジオと新聞と淹れたてのコーヒーで休日を満喫していると部屋のインタフォンが鳴り響きました。 ハイハイと応えてみれば訪ねて来たのは宅配便屋さん。どうやら先日ネットで注文しておいた書籍が届けられた模様です。 荷物を受け取って早速開…

天皇の料理番

杉森久英氏1979年の長編を上下2巻組で文庫化した『天皇の料理番』(集英社文庫)を読了しました。 あくまでフィクションであるという作者の意図を反映し主人公の名前は「秋山篤蔵」となっていたのですが、実は宮内庁で初代主厨長を務めた料理人・秋山徳…

ウィズ・ザ・ビートルズ

松村雄策氏2012年の著作の文庫化『ウィズ・ザ・ビートルズ』(小学館文庫)を読了しました。 ビートルズのイギリス盤、つまり1962年〜1970年迄の8年間にリリースされた14作のオリジナル・アルバムを、松村氏なりの視点で発売順に解説して行こ…

キャロル・キング自伝

松田ようこさんによる2013年の翻訳『キャロル・キング自伝 ― ナチュラル・ウーマン』(河出書房新社)を読了しました。 2000年から足掛け12年にも及ぶ執筆期間を経て紡がれた大著だけあって読み応えは充分。一時代を築いたシンガー・ソングライタ…

大阪から理工書

雨が降ったり止んだりする中を帰宅してドアポストを覗いてみれば、中には夕刊と一緒に書籍小包がひとつ。 どうやら先週末にネットで古書店に注文しておいた書籍が届けられた模様です。エアキャップ封筒を開封すると、現れたのは白地に黄色を基調としたお馴染…

創造者

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著/鼓直(つづみ・ただし)氏の訳による『創造者』(岩波文庫)を読了しました。 1960年に刊行されたボルヘス2番目の詩集の日本語版で、作者自身による自己評価の最も高い作品としても知られています。 50の作品からなる本…

ジャンプ

1991年のノーベル文学賞受賞者であるナディン・ゴーディマ著/柳沢由実子訳による『ジャンプ』(岩波文庫)を読了しました。 表紙に記載されているリード文によると、 多くの作家や詩人が国外に亡命したり獄中死などの悲惨な最期を遂げるなか、南アフリ…

コルタサル短篇集

木村榮一氏の訳による『コルタサル短篇集:悪魔の涎・追い求める男』(岩波文庫)を読了しました。 何と言うべきなのでしょう・・・とてつもなく面白いものを読んだという感触だけが強く残っているのですけれども、さてこの面白さをどう説明すれば良いものか…

弥生の晦日

日中はTシャツ1枚で歩く人を見掛ける度に「それ正解!」とつぶやいていた程、暖かいを通り越して “暑い” に近付いた「弥生の晦日」でした。 帰宅してシャワーを浴びヤレヤレと一息吐いてから、数日前に届けられていた『ナショナル・ジオグラフィック 日本版…

「春分の日」の出逢い

「春分の日」の今日はいつもの様に神保町の古書店街をブラブラと。 ようやくロング・コートから解放されてジーンズに厚めのジャケット、念の為にマフラーだけひと巻きして・・・という軽装なので、俄然足取りも軽くなります。 こういう良い日和だと店内に入…

闇を讃えて

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著/斎藤幸男氏の訳による2006年の著作『闇を讃えて』(水声社)を読了しました。 巻末の「訳者あとがき」によると、“本書は初期詩集三部作の最後の作品『サン・マルティン・ノート』(一九二九年)から数えて四〇年後に刊行さ…

アトラス

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著/鼓宗氏の訳による2000年の著作『アトラス ― 迷宮のボルヘス』(現代思潮新社)を読了しました。 いや・・・ここは安直に “読み終えた” というよりも、むしろ “味わい終えた” とでも言った方が適切かも知れません。 先だって…

被災地を歩きながら考えたこと

はや4回目となる「あの日」を迎えて、五十嵐太郎氏2011年の著作『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房)を読了しました。 東北大学で教鞭を執られている著者が被災地を歩き、建築工学の研究者としての視点で東日本大震災発生から半年間の推移と…

エル・アレフ

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著/木村榮一氏の訳による2005年の著作『エル・アレフ』(平凡社ライブラリー)を読了しました。 全225ページの中に17のストーリーと小さな「結び」が収められた短篇集なのですが、ボルヘスの持つ独特なテイストがギュギュ…

パソコンでKindle

Linux 環境になってから困っていたことの一つが、「適当な青空文庫リーダーがない」という問題でした。 以前より、明治から昭和初期にかけて発表された文学作品で「名作」と謳われているものが読みたくなった時は、青空文庫からダウンロードさせて貰う機会が…

確率論と私

伊藤清氏の『確率論と私』(岩波書店)を読了しました。 著者の没後2010年に編まれたエッセイ集で、シンプルなタイトル通り確率論にまつわるショート・ピースが20編。 「初出一覧」によると、『数学セミナー』(日本評論社)や『数理科学』(サイエン…

狂言記

昨日は例によって神保町の古書店街を歩いていました。 いつものルートで馴染みのお店をブラブラと訪ね歩いては、棚を眺め背表紙を読み気になったものがあれば書架から抜き取って開いてみる。 日によって、読みたい本や面白そうな本が続々と現れる時もあれば…

C言語の演習書

久しぶりにプログラムの勉強を再開したいなと思っていたら、近所の古書店で偶然C言語の演習書を見付けました。 以前1年間ほど掛けて集中的にこの言語を学習した時期があったのですが、一般知識としてのプログラミングの基礎に少しばかり慣れたところで中断…

ボルヘスの地図帳

どうしても本の匂いが嗅ぎたくなって、少し時間は遅かったのですが神保町まで足を延ばしました。 靖国通りに到着したのは既に6時半の少し前。大方の古書店は店じまいを始める時刻ですから、今日覗いてみる事が出来るのは7時まで開けているお店です。 もの…

多様化世界

フリーマン・ダイソン著/鎮目恭夫氏の訳による『多様化世界 ― 生命と技術と政治』(みすず書房)を読了しました。 本書の元となったギフォード講演が開かれたのは1985年、原書である "Infinite in All Directions" (Harper & Row) の発刊が1988年、…

立春の月と数学エッセイ

寒空に輝く見事な満月を眺めながら帰宅してみると、集合ポストの中に冷え切った小包が一つ。 蓋を開けてガサリと取り出してみればネット古書店からのメール便。先だって馴染みの理工書専門店へ発注を入れておいたのでした。 部屋に入って早速内容を検めてみ…

世界中を「南極」にしよう

柴田鉄治氏2007年の著作『世界中を「南極」にしよう』(集英社新書)を読了しました。 ちょうど3ヶ月程前には同氏が2003年に上梓なさった『新聞記者という仕事』(集英社新書)を読んでいたので、引き続いて本書を手にしたのは自然といえば自然な成…

俳句的生活

長谷川櫂氏2004年の著作『俳句的生活』(中公新書)を読了しました。 全体は12の章に分かれており、内訳は第一章「切る」、第二章「生かす」、第三章「取り合わせ」、第四章「面影」、第五章「捨てる」、第六章「庵」、第七章「時間」、第八章「習う」…

ニックとグリマング

フィリップ・K・ディック著/菊池誠氏の訳による1991年のジュブナイル『ニックとグリマング』(筑摩書房)を読了しました。 お話の背景になっているのは、こんな風になってしまっている地球です。 “もうずっと以前から地球は人であふれかえっていました…

今宵全てのフロストを

残り100ページあまりになってからは出来るだけゆっくり読んでいた Robert Frost の "The Collected Poems" (Vintage Classics) を、とうとう最後まで読み終えてしまいました。 それにしてもあの、好きな作家の全集やシリーズを「読み終えてしまった」時の嬉…

マーラーの交響曲

金聖響と玉木正之の両氏による2011年の共著『マーラーの交響曲』(講談社現代新書)を読了しました。 基本的な構成は、巻頭の「プレトーク」と巻末の「アフタートーク」という金氏と玉木氏による対談のパートで総論を、あとは1章につき1曲ずつ各交響曲…

森田さんの読書指南

去る2014年10月4日、八重洲ブックセンターにて開催されたトーク&サイン会場で入手していた気象予報士・森田正光氏の近著『「役に立たない」と思う本こそ買え』(dZERO)を読了しました。 普段読む本については「自分が読みたいもの」に取り組むだけ…

まいにちスペイン語

今年の4月からNHKラジオテキストの『まいにちスペイン語』を読み続けているのですけれども、先月の10月号から講座も後期に入ってグッと難しく面白くなって来ています。 実はこれまでNHKの語学講座を1年間ちゃんと履修した事はなかったので最初は「どうか…

霜月の夜に

夕方神保町まで足を延ばして、閉店間際の古書店街をテクテク。 理工書専門店を訪ねて今気になっている本を何点かチェックした後、閉店時刻が来るまで馴染みのお店を覗いて歩きます。 すると3軒目に訪れたお店で、書架に入りきらないで無造作に積み上げてあ…