蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

猫風船

先週の木曜日に二十四節気の「大暑」を過ぎたと思ったら、土曜日辺りから突然「オイオイちょっと待て」と言いたくなる程、すっかり空気が真夏のものに変わってしまいました。

そんな夏もいよいよ本番かと思われる中蒸し暑さにもめげず面白く読了したのは、先日東京国際ブックフェアで購入した中の一冊、松山巌氏の『猫風船』(みすず書房)。

全体で160ページ程の中に41篇のショート・ストーリーが収められた、所謂「掌篇小説集」といった趣の作品集なのですが、裏表紙の出版社によるコメントにもある通り全編を通じて“内田百閒風のフレーバー”が満載。

どの一編を取っても理路整然としたありきたりな内容のものは無く、読後にはチョット不安になったり少しばかり怖くなったり、もしくは奇妙な感覚にアタマの中を掻き回される思いがしたり。

ディテールにコダワってみるとするなら、夏の蒸し暑い夕暮れ時に蚊取り線香の匂いと風鈴の音を背景にしつつ、団扇(うちわ)を使いながら縁側に腰掛けて読んでみたい一冊・・・といった感じでしょうか。

あ、モチロン内田百閒の短篇集も本棚の奥から引っ張り出して、布団の中で読んでいるところです。

猫風船

猫風船