ルリユールおじさん
穏やかな空気に包まれたクリスマス・イヴでもあり、今夜は何ともステキな絵本を一冊御紹介しておく事にしましょう。
舞台はパリ。大切にしてきた植物図鑑が壊れてしまった少女が、街の年老いた製本家(ルリユール)に本の修理をお願いするお話です。
作者はこの絵本を書き(描き)上げるために、パリにアパートを借りて取材拠点とし、モデルとなった工房まで何度も足を運んだのだとか。
よく見れば非常に細密に書き込まれた下絵にもかかわらず、淡い淡い色遣いの水彩による効果なのでしょうか、ページをめくると透明感溢れる風景が広がります。
特に少女が着ている服の“青さ”は、本当にハッと息を呑むくらい鮮やかで美しくて印象的。個人的にはこの「ブルー」を堪能する為だけにこの本をお薦めしてもいいと思っています。
本、仕事、技術、継承、時間、自然・・・等々、わずか60ページ足らずの中に実に様々なテーマを含んでおり、小さい子供だけでなく幅広い年齢層に“広く長く”読まれて欲しい一冊です。
・・・では皆様、どうか良いクリスマスをお過ごし下さいませ。