春分の出逢い - 蒼風閑語

昨日は先だっての目論見通り、丹後ちりめんを小脇にしての神保町歩きを愉しんでいました。

実際の気温は平年を下回っていたらしいのですが、陽射しがどことなく力強いのと風が殆ど無いのとで、歩いていると少し汗ばむ程の結構な暖かさです。

さすがにこれだけ絶好の行楽日和とあって古書店街はいつも以上に大賑わい。店頭の均一台はどこも沢山の人が群れ集って俄には近付くのも大変そうな雰囲気。

だからという訳でも無いのですけれども、馴染みの一軒で文庫本を一冊だけ買い求めたあと、足は何となくクラシック専門の中古盤屋さんへと向かっていました。

店内でひと通り廉価LPなどをチェックしてから定番棚へも目を遣ると、ふと目に留まったのはとあるボックス・セットの特徴的なジャケット。

あ、あれはもしかして・・・と近付いてみれば案の定、最近少しばかり気になっていたブダペスト弦楽四重奏団によるベートーヴェンの全集でした。

見れば価格が相場より若干安めに設定されている模様。早速カウンターに持ち込んで検盤をしてみたところ、盤面にやや指紋が目立っているものの他の部分は総じて良好な状態です。

CDの場合通常の皮脂汚れならクリーニングしてしまえば完全に綺麗になるので、もしもこれが安値の原因であるとすればかなりの「お買い得」と言えそう。

ニコニコ顔で「頂きます」と伝えれば、店員さんの方でも気をまわしたのか「何か問題がある様でしたらレシートと一緒にお持ち下さいね」の一言。嬉しい気遣いです。

このところずっと懸案にしていたボックス・セットが思いがけず安価に見つかって、春分の良き日の出逢いに足取り軽く帰途についたのでした。