心も霞に
三連休の中日(なかび)となった日曜日の今日は、また何ともありきたりの言葉では言い尽くせない程澄んだ空が広がりました。
う~む・・・「青空」ではあまりにフツーなのだし、かといって「蒼天(そうてん)」だの「碧空(へきくう)」だのといった少しばかり重厚に過ぎる語が、今日の透明感に溢れた空の色と空気感に相応(ふさわ)しいとも思えません。
こんな時に思い出すのは、寺田寅彦が明治三十八年に発表した小編『団栗(どんぐり)』の中で、妻に向かって語り掛けるシーンに登場する次の言葉です。
「人間の心が蒸発して霞(かすみ)になりそうな日だね」
これは2月の良く晴れた日に、病身の妻と植物園を訪ねた折の“思い出の一コマ”として語られるのですけれども、冴え冴えと晴れ渡った空を指しての表現として、これ以上リリカルでかつ独創的なものはあまり思い付きません。
さぁ、10月の第2月曜となってから既に久しい明日の「体育の日」(確か“ハッピーマンデイ”と言うのでしたっけ)は、本日同様素晴らしい好天に恵まれるでしょうか。