蒼風閑語

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大気放射学の基礎

3ヶ月程前に近所の古書店で買い求めていた、浅野正二氏の『大気放射学の基礎』(朝倉書店)を読了しました。

気象学の概論書などで、大気放射について一言も触れていない本には余りお目に掛かった事がありませんが、このテーマについてシッカリと書かれた日本語での入門書となると“ほぼ皆無”という状態が長く続いていました。

それだけに巻末の参考文献リストを見て、洋書だと初心者向けから上級者向けまで少なからぬ数の文献が存在しているのを知った時は、少しばかりビックリ。

やはりどんなジャンルにせよ英語で書かれた書籍が一通り読める程度の語学力を持っていると、読書における選択肢の幅が飛躍的に広がるという事実を目の当たりにさせられます。

本書の構成は大きく8つの章からなり、第1章「放射の基本則と伝達過程」、第2章「太陽と地球の放射パラメータ」、第3章「気体吸収帯」、第4章「気体吸収帯における赤外放射伝達」、第5章「大気微粒子による光散乱」、第6章「散乱大気における太陽放射の伝達」、第7章「大気リモートセンシングへの応用」、第8章「放射平衡と放射強制力」という流れ。

それに補章として「電磁波と偏光」、「複素屈折率と反射・屈折の法則」、「放射フラックスの測定」という3つの小節が加えられており、物理的・工学的な補足として読み応えのあるパートとなっていました。

上記の参考文献リストにも挙げられている、柴田清孝氏の『光の気象学』(朝倉書店)を座右に置いて相互補完しながら読み進めると、大気光に関する世界がグッと広がること請け合いの一冊です。

大気放射学の基礎

大気放射学の基礎

 
光の気象学 (応用気象学シリーズ)

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