蒼風閑語

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闇を讃えて

ホルヘ・ルイス・ボルヘス著/斎藤幸男氏の訳による2006年の著作『闇を讃えて』(水声社)を読了しました。

巻末の「訳者あとがき」によると、“本書は初期詩集三部作の最後の作品『サン・マルティン・ノート』(一九二九年)から数えて四〇年後に刊行された(序文によれば)ボルヘス第五冊目の詩集である” という事でした。

収録されていたのは34を数える詩と散文からなる本編、そしてベネズエラの批評家ギジェルモ・スクレによる26ページに渡る論評「闇を讃えるボルヘス」という構成。

実はこのスクレという御仁の評論文にはまだ目を通しておりませんし、更に言うなら当面の間は目を通すつもりもありません。

というのも、今はもう少しボルヘスの作品そのものを大量に口へ運び、咀嚼してみたいという気が強くしているのです。評論家の方々がどう思ったかを参照するのはそのアトからでも充分かな・・・と。

ここまで『エル・アレフ』『アトラス』そして本作と3つの作品を読み継いできて、これは「理解する」よりも「感じ取る」べき作家だという認識がますます強まって来ました。

そうしてもしそれらの「感じ取った」部分をより深めてみたい、よりボルヘスの思考に近付いてみたいと思ったなら、その時に改めて評論・解説書の類に手を伸ばしアカデミックな世界に踏み込めば良いのだと思います。

それにしても・・・これはそろそろ原文を味わうべきところでしょうか。いやいやまだ時期尚早でしょうか。

取り敢えず次は彼の「4番目の詩集」たる1960年の作品『創造者』(岩波文庫)に取り掛かる予定です。

闇を讃えて

闇を讃えて