蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

立春の月と数学エッセイ

寒空に輝く見事な満月を眺めながら帰宅してみると、集合ポストの中に冷え切った小包が一つ。

蓋を開けてガサリと取り出してみればネット古書店からのメール便。先だって馴染みの理工書専門店へ発注を入れておいたのでした。

部屋に入って早速内容を検めてみると、現れたのは数学者の手によるエッセイ集が2冊。小林昭七氏の『顔をなくした数学者』と伊藤清氏の『確率論と私』(共に岩波書店)です。

小林氏といえば、代表作のひとつ『ユークリッド幾何から現代幾何へ』(日本評論社)はあまりに「面白くて」、『曲線と曲面の微分幾何』(裳華房)はかなり「難しくて」何度も読み返した記憶があります。

一方で、伊藤氏のガウス賞受賞を機に復刊された『確率論の基礎』と『確率過程』(共に岩波書店)を立て続けに読み上げたのも懐かしい思い出の一つ。そういえば「岩波基礎数学選書」所収の『確率論』は3分の1程を読んだところで放り出したままになっていますけれども。

・・・そんな思い出深いお二人が筆を執られた数学エッセイ集ですから面白くなかろう筈もありません。手始めに小林氏の本を開いて冒頭部に目を落としてみると、もう面白くてページを繰る手が止まりません。

ふと気が付けばまだ着替えもしないままの格好で小1時間、全4章の内半分の2章を読み上げてしまってました。いやぁ、比較的軽めの内容だし行間もユッタリ取られているのでついつい。

今日届いて先程荷を解いたばかりだというのに、これを読み上げたら小林氏の未読本を何か読んでみようかな・・・などと気の早い考えを巡らせていた「立春の夜」だったのでした。

顔をなくした数学者――数学つれづれ

顔をなくした数学者――数学つれづれ

 
確率論と私

確率論と私

 
ユークリッド幾何から現代幾何へ (日評数学選書)

ユークリッド幾何から現代幾何へ (日評数学選書)

 
曲線と曲面の微分幾何

曲線と曲面の微分幾何

 
確率論の基礎 新版

確率論の基礎 新版

 
確率過程

確率過程

 
確率論 (岩波基礎数学選書)

確率論 (岩波基礎数学選書)