蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

弥生の晦日

日中はTシャツ1枚で歩く人を見掛ける度に「それ正解!」とつぶやいていた程、暖かいを通り越して “暑い” に近付いた「弥生の晦日」でした。

帰宅してシャワーを浴びヤレヤレと一息吐いてから、数日前に届けられていた『ナショナル・ジオグラフィック 日本版』の4月号を開いてパラパラ。

本誌を眺めるのは月末から月初めに掛けての大きな愉しみの一つなのですけれども、今月号から始まった日本版創刊20周年を記念する特別企画、「日本のエクスプローラー」がイキナリ読ませます。

舟津圭三氏の “冒険や探検の精神は人間が進歩してゆくうえで非常に大切なものだと思う”湯川秀樹氏の “未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探求の結果として、できるのである” という2つの言葉は謂わばイントロダクション代わりでしょうか。

池澤夏樹氏による序説「外へ出ようとする者」が重厚にして的確な幕開けとなって、今回採り上げられている広義の「探求者」は冒険家・植村直己、探検家・関野吉晴、恐竜研究家・小林快次という3氏。

特に、北極点単独行に挑む植村氏を現地取材した経験を持つカメラマンのアイラ・ブロック氏による画像とテキストがもう圧倒的に素晴らしくて、気が付けばアッという間に一気読みです。

そうなると止まらなくなって、関野氏の「グレート・ジャーニー」に至る顛末記、恐竜デイノケイルスの全貌を明らかにした小林氏のエピソードも、そのままの勢いで読み上げてしまいました。

その他の特集、「リンカーン最後の旅」「ハッブル望遠鏡傑作画像10」「フロリダ発海面上昇とマネー」も読み応え充分の力作で、中でもフロリダの海面上昇を扱った記事は写真がジョージ・スタインメッツ氏。

彼の手による画像の美しさ・力強さとローラ・パーカーによるテキストの訴える深刻さが見事にシンクロして、とても訴求力の強いレポートになっていると思います。

いやいや・・・今月の『ナショナル・ジオグラフィック日本版』は特別に充実していますねぇ。もし拙文で興味を持たれた方がいらっしゃったなら是非書店で手に取ってみて下さいませ。