蒼風閑語

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大気の物理学

あまり天気の良くなかった先週の土曜日、いつもの様に神保町の古書店街を歩いていました。

何か面白い本は出てないかと馴染みの店を覗き歩いていたのですが、最後に立ち寄ったお店の書架の中に数冊の薄っぺらい冊子を見つけました。「初等物理学講座」なるシリーズで、小山書店というところから出版されています。

著名な作者によるものもあったので「へえぇ」と思って何冊か抜き出しては眺めていたのですが、その中に永田武著『大気の物理学』という1冊を見つけました。裏表紙に記された発行年を見ると1958年刊とあります。

永田武氏といえば等松隆夫氏との大著『超高層大気の物理学』(裳華房)で知られているだけあって、70ページそこそこの小冊子にも拘らず「超高層大気の発光現象」「電離層」「地磁気の変化」「宇宙線」と、超高層域における物理現象の解説に全10章の内の4章が割かれています。

全体的に数学と物理学を駆使しながら気象学の基礎の部分がコンパクトに語られるのですが、文中で使用されている図やグラフが現在の気象学のテキストには見られない独特なテイストで、“時代の醸し出すオリジナリティ”の様なものが色濃く漂って来る内容となっています。

冷たい雨であまり人気(ひとけ)の無い古書店街、ちょうど半世紀前に書かれた小さな掘り出し物との出合いでした。