蒼風閑語

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ガロアの夢

1ヶ月程前に大型書店の“稀少本コーナー”で見付けて買っておいた、久賀道郎氏の『ガロアの夢―群論微分方程式』(日本評論社)を読了しました。

巻頭に付された「序文」によると、本書は著者がかつて東京大学教養学部で行ったゼミナールを基にしており、書籍化するに当たっては「簡潔にまとめたりすることはやめて」「原講義のスタイルをなるべく忠実に再現して紹介することにした」ものなのだそうです。

全体的な構成は、本編19週+補遺的な2週からなる合計21週間の講義の形を取っているのですが、お話が佳境に入って来る第14週“被覆面上の連続函数”辺りからは読み進めるのもなかなか大変になって来ます。

特に“∞週、∞+1週”と題された補遺的な2週はかなり衒学的且つ趣味的な世界で、些か一般的な学習者の読解レベルを超えた内容となっていました。まあ、著者自身がここに「さよならはHATTARIのあとで」とタイトルを付けている位ですから“何をか云わんや”といった感はあるのですが・・・。

本書に続いては、巻末の文献表に記載された書籍から「このゼミナールに出席していた学生の中の何人かは平行してこれを独習していたようである」と注記が加えられていた、ヘルマン・ワイルの『リーマン面』(岩波書店)に取り掛かろうかと考えているところです。

ガロアの夢―群論と微分方程式

ガロアの夢―群論と微分方程式

 
リーマン面

リーマン面