蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

統一性と多様性

部屋の中でゆっくり、電車に揺られながら、喫茶店でコーヒーを啜りつつ、図書館で辞典を傍らに、とあちこちで読み進めていたグランスドルフ/プリゴジン著『構造・安定性・ゆらぎ―その熱力学的理論』(みすず書房)を読了しました。

全体は大きく3部に分けられており、第1部が“一般論”とされる1~9章、第2部は“変分法流体力学への応用”と題された10~13章、そして第3部を“化学過程”と題する14~17章で締めくくる、という構成でした。

各章毎の内容については「序論」の中で著者自身がその概要を説明していますので、以下に抜書きしておく事にしましょう。

 “第1-4章では非平衡線形熱力学および平衡熱力学の重要な結果について定式化し直した”、“第5-7章では、平衡・非平衡状態一般に古典熱力学の安定性理論を拡張することについて述べた”、“第8章でアインシュタインのゆらぎの理論の一般化を議論する”、“第9、10章では「万能発展規準」と「局所ポテンシャル」の概念について考察する”、“第11章で、流体層の熱的不安定性の問題(ベナール問題)のような安定性問題を扱う”、“第12章では流体層のさらに複雑な安定性の問題、すなわち層流の不安定性および流れと熱勾配とが相互に及ぼす安定性への影響等を扱う”、“第13章ではまったく異なった型の問題として、理想流体中における有限振幅波の伝播の安定性を主に取扱う”、“第14章から第16章は開放化学系の例である”。

一見種々雑多にも見える物理の諸相を「安定性」という大きな枠で括ってみようという試みは、なかなか遠大にして難解です。暫しアタマを沈静化させてから、G.ニコリスとの共著『散逸構造』(岩波書店)に取り掛かりたいと思います。

構造・安定性・ゆらぎ―その熱力学的理論

構造・安定性・ゆらぎ―その熱力学的理論

 
散逸構造―自己秩序形成の物理学的基礎

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