蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

概説書の効用

少しずつ雲が増えてだんだん曇りがちになって来た午後、特に目的も無く神保町の書店街を歩きました。

馴染みの古書店を何軒か覗いたり大型書店のフロアで新刊をチェックしたり。充分に本の匂いを堪能したらコーヒーショップの一角に席を占めて、鞄の中に入れておいた読みかけの本を開いてみるのも一興。

今日家から持ち出していたのは、1964年に刊行されたカンパニエーツ著/山内恭彦・高見穎郎訳の『理論物理学』(岩波書店)。物理学の分科の中から「力学」「電磁力学」「量子力学」「統計物理学」の4科目を選んで“理詰め”の解説を試みた概説書です。

今日は電磁力学の最後の章と量子力学の最初の辺りを読んでいたのですが、世評も高く所謂“古典的名著”の一冊に数えられているだけあって、各分科のエッセンスがとてもコンパクトに且つ過不足無く纏められています。

クーラント=ロビンズ共著/森口繁一監訳の『数学とは何か』(岩波書店)などもそうでしたが、上手く書かれた概説書というのは総じて中・短編小説のオムニバス作品を読む様な面白さがあるもの。

最初からジックリ通読して行くも良し、各章をランダムに読み進めて行くも良し、フレキシブルな読み方に対応する使い勝手のよさは、まさに“持ち歩き”にピッタリの内容とも言えそうです。

数学とは何か

数学とは何か