蒼風閑語

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生命・生物科学の数理

長谷川寿一・眞理子両氏の共著『進化と人間行動』(東京大学出版会)に続いて読み進めていた、“岩波講座 応用数学”からの分冊『生命・生物科学の数理』を読了しました。

全体を「数理生態学」「数理集団遺伝学」「神経情報処理とニューロコンピューティング」「年金システムの数理」と4つの章に分け、それらを微分方程式・確率過程・数値計算・統計解析といった数学的手法を使って解説するという構成。

どれを取っても大変興味深いテーマではあるのですが、さすがにこれだけのトピックを100ページ程の小冊子に纏めてしまうのは些か無理があった様で、どの章も“各テーマから抽出したエッセンスの上澄み”だけを紹介してある感じ。

また、そこここに「~についてはここでは立ち入らない」「~については他書に譲る」「紙数の都合でこれ以上の深入りは・・・」といった風の記述が目立っていたので、それなら、とこちらも速度を上げて4日程で読み上げてしまいました。

やはりそれぞれのテーマ毎にしっかりした記述の為された各論の解説書であるか、若しくは概説書であるならばもう少し紙幅に余裕のあるものでないと、なかなか“掛けた時間と労力”に見合うだけの価値ある読書体験とはならない様です。

でも本書の中の数箇所で、改めて統計的手法についての面白さに気付かされた部分がありました。本書に引き続いては永田靖氏の『入門統計解析法』(日科技連)に取り掛かろうかと思っているところです。