蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

誰そ彼?彼は誰??

近頃は“いつの間にか”ではなく“すっかり”と言った方がピッタリする位、陽が落ちて夜の帳(とばり)が降りるのも早まって来ています。

“日没から完全な夜になるまで”の時間帯を指してよく「たそがれ時」と言ったりしますが、実は長いこと「かわたれ時」という表現も同じ意味だと思い込んで、それこそ適当に“その時の気分”で使い分けたりしていたのです。

ところがつい先日必要があってこのコトバの意味を改めて調べたところが、“丸っきりのデタラメ”とまでは行かないものの、実はかなり明確に使い分けるべき違いがあるのだという事が判りました。

【たそかれ‐どき】 黄昏時

「誰(た)そ彼(かれ)〔=誰ダソコニイルノハ〕」といぶかる頃の意。近世以後「たそがれどき」と濁る。夕方の薄暗い時分。夕暮れ時。夕方。

【かはたれ‐どき】 彼は誰時

薄暗くて、人の姿は見えるが、誰とも見分けがつかない時分の意。朝のまだ薄暗い時刻。明け方。薄明。

小学館『古語大辞典』より抜粋)

現代の国語辞典には「混用も可」としているものもあるのですが、古くからの倣いに従うのであれば“日の入から夜”までの薄暮の時間を「たそがれ時」、“夜から日の出”までの薄明の時間を「かわたれ時」と使い分けた方が良さそうだ・・・という事になりそうです。

必要も無いのに “すっかり陽も落ちた「かわたれ時」に” などと気取った書き方をしていると結構恥ずかしい思いをする事もあるのですよ・・・という、何だか締まらないお話なのでした。