蒼風閑語

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数理物理と偏微分

残すところ後1章のみとなっていた“岩波講座基礎数学”からの分冊『数理物理に現われる偏微分方程式Ⅰ』を読了しました。

Ⅰ・Ⅱ両巻を通しての著者として、藤田宏・池部晃生・犬井鉄郎・高見穎郎という4氏のお名前が掲げられているのですが、本分冊では主に藤田・池部の両氏が筆を執られています。

内訳はまず第1・2章を費やした「針金の熱伝導と熱方程式」、続いて第3・4章の二章に渡る「定常状態と Laplace の方程式」、そして最後の第5章「弦の振動と波動方程式」へという流れ。

実は同講座から既に、金子晃氏の『定数係数線型偏微分方程式』と藤原大輔氏の『線型偏微分方程式論における漸近的方法』というかなり“手強い”2分冊を読了していたので、本分冊については「機会があれば」位に考えていたのです。

ところがひとたび読み始めるとこれが難しくて面白くて。本文全体から受ける感触は、山内恭彦氏の『物理数学』(岩波書店)や『物理数学へのガイド』(サイエンス社)なんかに近い感じでした。

つまりキッチリとした数学的な整合感よりも、取り扱う物理的対象の面白さで読ませる感じ・・・とでも言えば良いでしょうか。これは何だか、続く『Ⅱ』に進むのがとても楽しみになって来ました。