摂動論と漸近的方法
雲がポコポコ浮かんで気持ち良く晴れ上がっていた今日は、空からの便りも雪から雨に変わるという二十四節気のひとつ「雨水」でした。
何となく昼間のイイ気分を持続したまま夕方は久しぶりに大学の図書館に。暫く前から少しずつ目を通していたマスロフ著/大内忠・金子晃・村田実3氏の共訳による『摂動論と漸近的方法』(岩波書店)を読了しました。
翻訳者のお一人である金子晃氏の著作『定数係数線型偏微分方程式』(岩波書店)や『偏微分方程式入門』(東京大学出版会)の中で参考図書として挙げられていた一冊だったのですが、読後の状況をより正確に言えば「読み終えた」というよりもむしろ「目を通し終えた」という感じでしょうか。
“物理学の講義で‘量子力学:古典力学=波動光学:幾何光学’という比例式を習う。これは量子力学の発見的説明によく用いられるものであるが (中略) これにはさらに第3の項‘=線型偏微分方程式:その陪特性方程式’がつけ加えられてより内容のあるものになる”
とは巻頭の「訳者序」にあった件(くだり)ですが、本書が凡そ300ページを費やして言わんとしているところの要諦は、まさにこの“付け加えられるべき第3の項”についての詳細な解説に他なりません。
この部分だけでも充分「なんのこっちゃ」という感じですが、むろん本文の方はそれに輪をかけて難解。これは目だけで通読するよりも腰を据えて沢山手を動かす事によって、初めて面白くなって来る一冊なのかも知れません。