続・物理学の視点
正編の『物理学の視点―力学・確率・量子』に引き続いて読み進めていた、江沢洋氏の『続・物理学の視点―時空・量子飛躍・ゲージ場』(培風館)を読了しました。
本書も正編と同じく、比較的系統立った記述で統一された3編と、どちらかと言えば軽めの筆致で綴られた1編という四つのパートから構成されていました。
内訳は第Ⅰ編が「力と時空」、続く第Ⅱ編が「量子飛躍」、第Ⅲ編は「やさしいゲージ場」で、最後の第Ⅳ編に「数理の断片」という流れ。
巻頭の「まえがき」の部分に、本書の表題を“『現代物理学の視点』としたほうが内容をよく表わすという考えもでた”と記している通り、数ある現代物理学のトピックの中からいくつかの「本当に面白い話題」を巧みにチョイスした内容でした。
中でも面白くて何度も読み返してしまったのは、第Ⅰ編2章の「対称でないものは基本法則でない―ベクトルの変換を例として」、第Ⅱ編7章「光の速さは定義になった」、第Ⅲ編10章の「アハラノフ・ボーム効果」辺りでしょうか。
ちなみに第11章「冗談なしのファインマン」は、とても短いけれども深い含蓄を湛えた一文だったのですが、その末尾にはアインシュタインのこんなコトバが引用されていました。
“魚がその環境を離れるまで水を解することの少ないように、人もまた、毎日の環境の特異さを理解することは少ないものです。”