蒼風閑語

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統計物理学

およそ2年近くを掛けて読み継いで来た“岩波講座 現代物理学の基礎”でしたが、最後の一巻となっていた第6巻『統計物理学』を読了しました。

冒頭に置かれた「序」の中で、編・著両面に携わられた久保亮五氏は“根源へと遡る方向とは逆の方向を目指し、分析された要素を組み立て、現実に、日常にわれわれが直面する世界の物理を再び構築しようとするもの”、そして“ミクロをマクロに綜合するもの”が「統計物理学」である・・・と定義しています。

本書はまさにその事実を順を追って例示し、裏付けを取り、証明し、少しずつしかし確実に本質を明らかにして行く過程を記した500ページであったと思います。

全体は10の章から構成されており、その内訳は次の通りでした。

第1章「一般的な予備的考察」、第2章「統計力学のアウトライン」、第3章「具体的応用」、第4章「相転移」、第5章「Brown運動」、第6章「確率過程としての物理的過程」、第7章「緩和現象と共鳴吸収」、第8章「線型応答の統計力学」、第9章「統計力学における場の量子論の方法」、第10章「エルゴードの問題」。

個人的に面白くてユックリ読み込んだのは第2章と3章、第5章と6章、第9章と10章辺りでしょうか。但し最後の2章は相当に難しかったので、これから何度となく読み返すなり類書を当たったりする必要がありそうです。

さて本書に引き続いては・・・「確率論」についてもシッカリと書かれたものを一冊読んでおきたいのですが、本講座で最初に手にした第11巻の『素粒子論』に再び戻ってみたい様な気もしています。

ここは一休みして、少し考えてみますね。

統計物理学 (新装版 現代物理学の基礎 第5巻)

統計物理学 (新装版 現代物理学の基礎 第5巻)