蒼風閑語

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線形代数と量子力学

裳華房の“基礎数学選書”から第24巻、竹内外史氏1981年の著作『線形代数量子力学』を読了しました。

近頃復刊されたPOD版を新刊書店で目にして「面白そうだなぁ」と思っていたところへ、ちょうど上手い具合に馴染みの古書店で状態の良いハードカバー版が見つかったのです。

射影作用素を中心に据えてユニタリー作用素と自己共役作用素についてコンパクトに解説した返す刀で、そのまま量子力学への応用を語ってしまおうというコンセプトに基づいた記述。

第1章「線形空間Cnとその正規作用素」と第2章「量子力学」に付録の「量子理論への誘い」まで、全て合わせても150ページそこそこというサイズにかなり高度な内容が盛込まれているので、読み上げるにはそれなりの予備知識が必要です。

それだけに、線形代数量子力学について既に持っている知見が多ければ多い程「こんな見方もあるんだ」と愉しめるところが増えて行く・・・そんな風に書かれている一冊だと思います。

特に集合・論理の立場から量子力学を語ればこうなる、と著者独自の視点で“数学者の目を通した物理学”を考察した「付録」は一読の価値アリ!です。

線形代数と量子力学 (基礎数学選書 24)

線形代数と量子力学 (基礎数学選書 24)