蒼風閑語

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数学の学び方

しばらく前にネット古書店で見つけて買い求めておいた“岩波講座 基礎数学”からの分冊、小平邦彦氏編集によるオムニバス『数学の学び方』を読了しました。

奥付を見ると1987年発行で第6回配本添付の「非売品」とありますから、当該講座の第3次発刊の際に加えられた“別冊付録”という事になるのでしょうか。

内容はまさに題名にある通り、“岩波講座『基礎数学』の編集に携わった8名の執筆者がめいめいの経験に基づいて‘数学の学び方’を述べたもの(「はしがき」より)”でした。

各章の執筆者名とタイトルを記しておくと、飯高茂氏の「数学しながら学ぶ」、岩堀長慶氏の「“いいかえ流”勉強法」、河田敬義氏の「数学の帰納的な発展―Gaussの楕円関数論―」、小平邦彦氏の「数学に王道なし」、小松彦三郎氏の「暗記のすすめ」、田村一郎氏の「論理を追う前にイメージを持て」、服部晶夫氏の「数学事始」、藤田宏氏の「数学および諸科学での応用に向けて」という8編。

同じ「数学の学び方」を題材にしていても、それぞれの筆の進め方が個性的でどれを取っても面白かったのですが、短い中にも溢れんばかりの含蓄を凝縮させていて読み応えがあったのは、飯高氏・岩堀氏・小平氏・小松氏・藤田氏による各編でしょうか。

それにしても、これこそが「数学の学び方」の要諦と言うべきなのは、小平氏が記されていた以下の点に尽きるのでしょう。

“わからない証明は繰り返しノートに写してみること、別証を考えること、定理をいろいろな問題に応用してみること (中略) 幾何に王道なし(ユークリッド)というが、数学に王道なしということであろう”

数学の学び方

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