蒼風閑語

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自然科学的世界像

同じ出版社から少し後に復刊された『現代物理学の思想』の方を先に読んでしまったのですが、ウェルナー・ハイゼンベルク著/田村松平訳の『自然科学的世界像 第2版』(みすず書房)を読了しました。

これはハイゼンベルク氏の講演を収録した書籍としては最初に世に出たもので、氏も本書に特別な愛着を感じていたものなのかどうか、原著の方はこの翻訳が出た時点で既に「第9版」まで改版が続けられていた様です。

同社から出版されている氏の著作については『部分と全体』(山崎和夫訳)、『現代物理学の自然像』(尾崎辰之助訳)、『現代物理学の思想』(河野伊三郎・富山小太郎共訳)と読み継いで来ているので、読んでいても何となく安心感がありました。

初の講演集という事もあってか全体に力強く“熱い”感じが伝わって来る論調のものが多いのですが、巻末に10ページ余りにも渡って書き連ねられている「訳者あとがき」も負けず劣らずの熱い語りっぷりで、これもまた読み応え充分の一編となっています。

個人的にテーマと語り口が面白くて印象に残ったのは、第5章の「現代物理学に照らして見たゲーテの色彩論とニュートンの色彩論」と第8章「諸国民間の和協のための手段としての科学」辺りでしょうか。

ちなみに原著はドイツ語版で "Wandlungen In Den Grundlagen Der Naturwissenschaft" となっていますが、もしかすると英訳されたものがあるのかも知れません。

自然科学的世界像 第2版 新装版

自然科学的世界像 第2版 新装版