開きかけた秘密の箱
昨年の12月に入って間もない頃から読み進めていた、ニック・レーン著/斉藤隆央訳・田中雅嗣解説による『ミトコンドリアが進化を決めた』(みすず書房)を読了しました。
一応一般向けという事で優しい語り口にはなっていますが、巻末の「解説」に“この本をセミナーの教材として採用している大学さえある”とある通り、ボリューム・内容共にかなり読み応え充分な一冊でした。
ただそれだけに、生物学や生化学などについて一通りの知識があった方が読み進め易いであろう部分が少なくなく、私自身もお馴染み『ケイン生物学』(東京化学同人)や『理化学辞典 第5版』(岩波書店)の助けを借りたところが何ヶ所も。
田中雅嗣氏の10ページに及ぶ「解説」及びこれも結構読み応えのある「原注」、それに少しばかりの「用語集」と、何よりタップリと掲載された「参考文献」と、本編以外の充実ぶりにも思わず目を見張ってしまいます。
一回通読した位では、なかなか全体についてのコメントを出し辛い程“盛り沢山”な内容ですが、シッカリした生物学のテキストなどを傍らに備えて読むと、本当に得難く濃密な読書体験が得られると思います。
*原著:"Power, Sex, Suicide - Mitochondria and the Meaning of Life" by Nick Lane (Oxford University Press) 2005
Power, Sex, Suicide: Mitochondria and the Meaning of Life
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