蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

皐月の朔日

明るい陽射しの下初夏の様な風が吹き渡り、上々の滑り出しとなった今日「皐月の朔日」。

萌え出ずる木々の青葉や咲き誇る花の香りをタップリと含んだ柔らかい感触の風は、「薫風(くんぷう)」という呼び方がピッタリ来る感じの芳しさ。

【くん‐ぷう】 薫風

〔若葉のにおいを含んだような〕さわやかな初夏の風。(類)青嵐。

学習研究社『国語大辞典 第二版』より抜粋)

類例として挙げられている【青嵐】は「あおあらし」とも「せいらん」とも読む様ですが、【薫風】と全く同じ語釈を持つ同義語です。

そういえば『古今和歌集』には

 “さつきまつ 花たちばなの 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする”

という「よみ人しらず」の一首がありました。大意を(旧暦五月を待って咲く花橘の香りを嗅ぐと、かつて知っていた方の袖の香りがする様だ。)とするこの歌は、『伊勢物語』の第六十段にも記載が見られるお馴染みのもの。

更に明日が“別れ霜”の「八十八夜」だという事に思い至れば、何だかガラにも無く風流な心持ちにさえなって来る様です。