大気の科学
しばらく前にネット古書店で見つけて買い求めておいた、小倉義光氏1968年の著作『大気の科学―新しい気象の考え方』(NHKブックス)を読了しました。
小倉氏が執筆をなさっている気象学のテキストについては、東京大学出版会から出ている何冊かに目を通していますが、本書はそれらに先駆けて書かれた一般向けの解説書です。
先だって読み終えた近藤純正氏の『身近な気象の科学』(東京大学出版会)にも参考文献として挙げられていたので、手にするタイミングとしては「絶好」だったとも言えます。
それにしても小倉氏の“気象学の語り部”としてのセンスはやはり一頭地を抜いているというのか、決して内容的に易しいトピックばかりを選んでいる訳では無いのに、とにかく読者を自らの懐に呼び込んで読ませてしまう力量は「さすが」の一言。
読んでいる間の印象としては、読み始めたらページの上から目が離せなくなって、気が付いたらいつの間にか最後まで読み終わっていた・・・という感じでしょうか。
ありがちな「お天気エッセイ」の類とは一線を画した“本格的な気象学への手引書”としても、広くお薦め出来る稀有な一冊ではないかと思います。