蒼風閑語

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北陸の食文化

先日インターネットのバーゲンブック・ストアから届けられた、“伝承写真館 日本の食文化”(農山漁村文化協会)なるシリーズの中から、第6巻の『北陸』を読了しました。

読了・・・とは言っても写真が中心の“ヴィジュアル本”なので、もっぱら布団の中でナイト・キャップ代わりにつらつら眺めては愉しんでいるのですけれども。

それにしてもこのシリーズ、実物を前もって見る事も無く購入したのですが、当初の期待を大きく上回る面白さに少しばかり驚いています。

構成は各県ごとに、数々の郷土料理をカラー写真に収めた「伝承写真館」、その食文化が育まれたバックボーンを解説・考察する「食とその背景」、それらの背景となった産業と「家」や「町」の関係を象徴的にイラスト化した「屋敷まわりの図」、そして最後に、その土地に縁(ゆかり)のある方によるショート・エッセイというもの。

その編集主旨からも民俗学文化人類学的な感触が強く、イマドキの“旅とグルメ本”の華やかさとは一線を画した内容となっていますが、掲載されているたくさんの郷土料理のまぁ美味しそうな事といったら・・・。

その土地で採れるものを、採れたときに、採れただけの量を、一番美味しくなる様に工夫して食べる。収穫になお多少の余裕があれば、冬に備えてこれまた巧みな工夫で保存食にする。

これこそが“食事をいただく”という事の本質ではないかなぁ・・・といったところに、自然に気付かせて貰える様な「良質な本」との出逢いです。