蒼風閑語

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クォーク 第2版

先だって玉川通り沿いのブックオフで買い求めた事をお伝えしていた、南部陽一郎氏1998年の著作『クォーク 第2版』(講談社ブルーバックス)を読了しました。

一冊の総頁数は300ページを超え、ブルーバックスとしては「大部」の内に含まれるボリュームなのですが、一旦読み始めると本当にアッという間に読み終えてしまいました。

本書の特徴をひとことで言えば、素粒子物理学が発展して行った歩みをその現場に立ち会った当事者ならではの視点で、一般読者にも判り易い平易な表現で書き記した簡明な手引書・・・という事になるのでしょうか。

南部氏御自身が研究者としてまた指導者としての立場から、実際にその歴史をつぶさに目の当たりにして来られた訳ですから、記述に淀(よど)みや滞(とどこお)りのあろう筈もありません。

数式による表現を極力排し、数学的な厳密性を要する部分やコトバにすると却って難解になりそうな部分は巧みに省かれているので、注意深く読んで行けば素粒子物理学の“オイシイ部分”は全て堪能出来る様に書かれています。

2008年度ノーベル・ウィナー自らの手による案内と解説付きで愉しむ“素粒子ワールドの旅”。こんなゼイタクなひととき、ちょっと他では味わう事が出来ません。

クォーク 第2版 (ブルーバックス)

クォーク 第2版 (ブルーバックス)