蒼風閑語

ll_bluewind_llのひねもすのたりのたり

睦月の晦日

実は先週お休みにしていたので、昨日はちょっとだけ久しぶりの様な気がしながらの神保町歩きでした。

最初に欧州からの輸入書を扱っている老舗を少し覗いてから、いつものルートに沿って馴染みのお店を順番に巡って行きます。

お天気は上々だし、少し歩き回ると上着が要らなくなる暖かさの中、普段よりキモチゆっくり目に各店の棚模様を見ていると、心なしか品揃えにも春向けの兆しが感じられる様です。

基礎的な学術書が充実している様に見えるのは、卒論を無事書き終えた学生さん達の手元を離れた教科書や参考書が、そろそろ店頭に並び始めているからでしょうか。

特に最後に入ったお店で、アルゼンチンでは聖書に並ぶロング&ベストセラーとも言われている、ホセ・エルナンデス著/大林文彦・玉井禮一郎共訳『マルティン・フィエロ―パンパスの吟遊ガウチョ』(たまいらぼ)が見つかったのはラッキ~♪の一言。

これは先だって読了したガレアーノの『収奪された大地』(藤原書店)にその一部が引用されていたものなのですが、どうやら1981年に刊行されてその年の「日本翻訳文化賞」を受賞した後は、いくらも増刷されないまま新刊市場から姿を消してしまった一冊らしいのです。

こんな何とも味わい深い古書との出逢いで過ぎて行った、「睦月(むつき)の晦日(つごもり)」だったのでした。